目の中の体験

台風の目の中に入る。
これは狙っても(狙う奴などいないが)なかなか体験できるものではありません。


僕は18年鹿児島に住んでいましたが、台風の目の中を体験したのは1度だけです。
ただ、その台風は「戦後最大級の台風」と形容されるほどの強烈な台風でした。


確か、鹿児島市上空を通過した時の気圧が 925 ヘクトパスカルだったはず。
あの時はさすがに地盤の崩壊が心配だったので、団地の中央にある小学校の
体育館へ避難しました。そこで過ごした一日は今も忘れることができません。
(確か昼に直撃したはず)


なにがすごいかというと、あまりにも風が強いので、体育館そのものが振動して
天井から埃が次々と落ちてくるのです。天井が吹っ飛ばされてしまうんじゃない
のかと思ってしまうほどでした。


そして、目の中に入ります。理論的には自明なんだけど、本当に風が止むのよね。
あの静けさは異様としかいいようがありません。
30分ぐらいは風が止んでいたと記憶しています。


この時にも絶対外に出てはいけません。目に入った直後ぐらいならいいのかも
しれませんが、それでも危険です。いつ目から抜け出すかわからないから。
よくここで外に出た人が吹き返しのために飛んできた瓦とかに当たって命を
落とすのです。
(外に出る理由としてよくあるのが、家の屋根の瓦が吹き飛んだので補修しよう
とすることかな)


まあそんなわけで、あの一日は未だに脳裏に深く焼きついているのですが、
生涯忘れることのできない貴重な体験でした。